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お雑煮の由来や意味!関東や関西などの地域による違いとは?

投稿日:2019年12月15日 更新日:

お雑煮の由来や意味!関東や関西などの地域による違いとは?

お正月に食べるものと言ったら、お雑煮やおせち料理が思い浮かびますが、なぜお正月にお雑煮を食べるようになったのか意味や由来をご存知でしょうか?

お雑煮と一言で言っても、地域によって作り方や具材などに違いがあり、それぞれの特徴を知ると面白いですよね。

この記事では、お雑煮の由来や意味と地域による違いを解説していきます。

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お雑煮の由来や意味とは

お雑煮の由来や意味とは

お雑煮の由来

お雑煮の由来は、武家社会であった室町時代において宴の時に欠かさず一番最初に振る舞われていた酒のつまみが元になり、一年のスタートである元旦にお雑煮を食べる風習になったと言われています。

ところが、その時代では餅の原料となる米は高額だったので、一般市民のお雑煮は餅ではなく里芋が入っていたとのことです。

その後、江戸時代になると一般市民でも気軽に餅が買えるようになっていき、日本中(北海道と沖縄を除く)でお正月のお雑煮文化が広まりました。

そして、江戸時代以降についてはお雑煮にどのような具を入れても良くなり、全国各地それぞれに応じて具材の種類やだしの味つけ、餅の形などに違いが生まれてきたと考えられています。

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お雑煮の語源と意味

お雑煮の語源は、様々な具材を煮合わせたことから「煮雑ぜ(にまぜ)」と言われています。

そもそも、お雑煮は有難い餅をいただくための食事の一つとして、年神様にお供えした餅を海や山の幸とと雑して(混ぜて)煮て食べたことによって、雑煮と言われるようになったと考えられています。

年神様とは、新年を迎え初めに来られる先祖の集合霊のことを指し、今年一年の家族の健康や穀物などの農作物が豊作になることを約束してくださる神様です!
 

日本では、古くからお正月に年神様をお迎えしておもてなしをする習わしがあり、年神様へのお供え物としてお祝い事や特別な「ハレの日」に食べる「ハレ」の食べ物である餅を飾ります。

そして、年神様にお供えした餅や里芋、大根や人参などを、その年の初めに井戸や川から汲んできた若水(わかみず)と、年の初めの火で煮込み、元旦に食べたことが起源とされています。

要するに、お雑煮を食べる意味としては、神様によってパワーをもらい健やかに一年を過ごすためです。

ちなみに、お雑煮を食べる際には「食い上げる」という、毎日餅を1つずつ増やしていく食べ方が縁起が良いと言われています。

ですので、元旦に餅を2個食べたら、2日は餅3個、3日は餅4個という割合でお雑煮の餅を食べると、すごく縁起が良いとのことです。
 

お雑煮の地域による違いとは

お雑煮の地域による違いとは

だしの違い

お雑煮のだしの違いは、基本的に以下の2種類となっています。

  • 関東地方:すまし仕立て
  • 関西地方:白味噌仕立て

 

さらに地域別に細かく分けると、以下の4種類のだしの違いになっています。

  • 白味噌仕立て:関西地方、徳島県、香川県
  • 赤味噌仕立て:福井県、京都府/兵庫県/鹿児島県の一部
  • 小豆(あずき)仕立て:島根県、鳥取県、能登半島の一部
  • すまし仕立て:上記以外(東日本地域、関東地方、近畿を除く西日本地域)

 

お雑煮文化は京都発祥で、かつては味噌仕立てのすまし汁で味付けをしていたと言われており、京都の文化に影響された関西地方近郊を中心として、味噌仕立てのお雑煮文化が広がっていきました。

それとは逆に、関東地方ではすまし仕立てのお雑煮へと変わった理由としては、武家社会の影響を強く受けていた時代に「勝負にみそをつける:勝負に失敗して面目(めんぼく)を失うこと」という言葉から武士が味噌仕立てを嫌ったため、すまし仕立てのお雑煮を好んだということです。

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餅の違い

お雑煮の餅の違いは、基本的に以下の2種類となっています。

  • 関東地方:角餅を焼いて、お雑煮に入れる
  • 関西地方:丸餅を茹でて、お雑煮に入れる

 

関西地方では丸餅、関東地方周辺や寒冷地方では角餅が多いという特徴があります。

関西地方では、もともと縁起物として「円満」を意味する丸餅が一般的でしたが、関東地方周辺では江戸時代に人口が集まっていたため、1個ずつ手で丸めなければならない丸餅よりも、一回でたくさん作ることができる角餅が好まれるようになったことが、お雑煮の餅の違いを生んだと言われています。

また、東日本地域でのし餅を切り角餅を焼いてお雑煮に入れることが多くなった経緯としては、武家が支配していた時代に「敵をのす(敵を打ちのめす)」という縁起を担いだ理由からとされています。

ちなみに、なぜ西日本地域では丸餅、東日本地域では角餅に分かれたのかは、関ヶ原の戦いで岐阜県の関ヶ原を境目として分かれたという説もあるようです!
 

ですので、岐阜県や滋賀県、三重県周辺では、同一県でも丸餅と角餅が入り混じっているところもあるようで、境目となった地域のみの面白さかもしれませんね。

そもそも、餅がお雑煮に入れられるのは、餅が「良く伸びる」ことから長生きするという願いが込められていますが、丸餅と角餅も個々に意味があり、丸餅は上記でも触れたように「家庭円満」、角餅は「土蔵や白い壁の蔵が建つ:家が栄える」といった意味が込められています。
 

具材の違い

お雑煮の具材の違いは、基本的に以下の2種類となっています。

  • 関東地方:鶏肉、青菜(小松菜など)
  • 関西地方:頭芋(かしらいも)、大根、水菜、花かつお

 

関東地方では武家文化が強く、青菜と鶏肉を入れて「菜」と「鶏」で「名取り」として、「敵の大将の首を取って名乗りを上げられるように」という意味と、「菜」と「餅」を同時に持ち上げて食べると「菜を持ち上げる」つまり「名を持ちあげる」ことから、「名を上げる」として縁起を担いでいました。

それに対して、関西地方で頭芋(かしらいも)を入れるのは「人の頭になれるように」という願いが込められ、大根は「輪」に繋がり、水菜は「名を成す」、花かつおは「勝つ」に繋がることから、縁起を担いでいるようです。

その他のお雑煮の一般的な具材としては、人参や白菜、ネギ等の季節の野菜、海老、かまぼこ、芋類、豆腐類です。

さらに、年神様に対して今年一年の豊作や豊漁の願いを込めて、それぞれの地域の特産物を入れます。

ちなみに、里芋は子芋をいっぱい付けることから子孫繁栄の意味を込めて、鮭やいくらは川を上る強い魚でたっぷりと産卵するために縁起が良い魚なので、お雑煮の具材として入れている地域も多いようです。
 

地域別のお雑煮の種類と特徴とは

地域別のお雑煮の種類と特徴とは

地域別のお雑煮について、農林水産省のホームページに全国お雑煮マップが掲載されているので、ご参考になさってみてください↓↓↓
>>農林水産省 公式サイト:全国お雑煮マップ
 

また、地域別のお雑煮の特徴として、ユニークなお雑煮文化がある地域を以下にピックアップしてみました。

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岩手県:くるみ雑煮

岩手県のくるみ雑煮は、角餅を醤油ベースで焼いて入れるお雑煮で、すったくるみを醤油や砂糖で絡めて味付けをした甘いタレを準備し、くるみダレにお雑煮の焼き角餅を付けて食べます。
 

奈良県:きな粉雑煮

奈良県のきな粉雑煮は、白味噌仕立てのお雑煮で、焼いた丸餅や四角に切った豆腐やこんにゃく、輪切りにした野菜を入れ、砂糖を混ぜて甘くしたきな粉にお雑煮の焼き丸餅を付けて食べます。

ちなみに、黄色のきな粉には豊作になりますようにといった願いが込められています!
 

香川県:餡餅(あんもち)雑煮

香川県の餡餅雑煮は、餡が入っている餅を入れる白味噌仕立てのお雑煮で、具材は大根や里芋、人参や青菜など様々です。

餡入りの餅と白味噌仕立てのお雑煮と聞くと、複雑な味を想像してしまいますが、甘さとしょっぱさが絶妙な塩梅(あんばい)となって、意外とやみつきになってしまうお雑煮のようです。
 

鳥取県:あずき雑煮

鳥取県のあずき雑煮は、一見ぜんざいと思われるお雑煮で、今ではおしるこ風のお雑煮となっていますが、かつては塩味のお雑煮で、砂糖を餅に乗せて食べていたとのことです。
 

お雑煮の文化がない地域

北海道と沖縄県には、古くからの伝統あるお雑煮文化はないようです。

元々、北海道のアイヌ民族や沖縄県の琉球民族にはお雑煮を食べる文化や習慣はなかったようで、明治時代以降に本州から北海道へ移住した人達がお雑煮の文化を持ち込んだと伝えられていて、現在では北海道でもお雑煮は食べられています。

北海道のお雑煮は、醤油味のすまし仕立てのお雑煮で、角餅が多く、具材は鶏肉や野菜に加えて、北海道ならではの鮭やいくらが入ったお雑煮です。

一方で、沖縄では餅を食べるお雑煮文化はなく、お雑煮の代わりとして白味噌仕立ての濃厚な「イナムドゥチ」や、豚の内臓を煮た「中身汁」などを食べているようです。

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お雑煮の由来や意味!関東や関西などの地域による違いとは?のまとめ

お雑煮の由来や意味であったり、関東や関西などの地域によるお雑煮の違いについての参考になりましたでしょうか?

お雑煮は、縁起の良い食べ物として古くから食べられており、大事な意味が込められているのを知ると、いつも以上に感謝の気持ちを持って、お正月に食べるお雑煮を堪能できますね。

お雑煮も地域による様々な違いがあるので、全国各地のお雑煮を食べ比べしてみて、知らなかったお雑煮の味を知るのも楽しいかもしれません。

お正月にしか食べないお雑煮ですので、せっかくであれば色んなお雑煮を味わって、自分好みの新しいオリジナルなお雑煮を発掘してみてはいかがでしょうか。




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