癌(ガン)

脳リンパ腫という病気はどのような症状なのか?

投稿日:2017年1月23日 更新日:

松方弘樹がわずらった脳リンパ腫とはどのような病気なのか?

2017年1月21日に俳優の松方弘樹さんが、脳リンパ腫のため都内の病院で亡くなったというニュースが流れました。

2016年3月2日に松方弘樹さんが、脳リンパ腫という病気であることが発表されて一年も経っていないので、記憶に新しいのではないでしょうか。

この記事では、脳リンパ腫とはどのような病気なのかについて解説していきます。

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脳リンパ腫とは

脳リンパ腫とは、正確には中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)といい、日本では10万人に1人の割合で発症すると言われるほど非常に珍しいガンです。

頻度としては非常に低く、全身のリンパ系組織に発生する悪性リンパ腫の中でも、脳や脊髄(せきずい)、眼球などの中枢神経系に発症するなど、脳腫瘍(しゅよう)全体の約3%程度です。

本来なら悪性リンパ腫ができる部分は、リンパが流れる首や足の付根の鼠蹊部(そけいぶ)、脇などのリンパ節が腫れることがほとんどですが、稀にリンパ系の組織がない脳にもリンパ腫ができてしまうことがあります。

現段階では、なぜリンパ系の組織がない脳に、悪性リンパ腫ができてしまうのかについては、解明しきれていないことも多いのですが、何らかの形で炎症をおこしたリンパ球が脳で腫瘍を作るのではないかと言われています。

もしくは、臓器移植を受けた人やHIVに感染していたり、他の病気で免疫抑制剤を使用している人の発症率が高いというデータもあり、免疫力の低下も関係しているのではないかとされています。

また、8割以上の患者が50歳以上と中高年の方に多く見られ、70歳を超えていた松方さんは発症してもおかしくない適齢年齢ということになります。

一般的に脳リンパ腫は進行が早く、脳の中に複数のリンパ腫が同時に発生したり、脳の奥の方に発生しやすいという特徴もあります。

脳リンパ腫の症状

脳リンパ腫の症状は、通常の脳腫瘍と同じで脳に腫瘍ができる部位によっても異なります。

以下に脳リンパ腫の代表的な症状をまとめました。

  • 麻痺(まひ)
  • 言語障害
  • 精神症状
  • 痙攣(けいれん)
  • 視覚障害
  • 頭痛、吐き気、嘔吐など
 麻痺(まひ) 

脳リンパ腫は中枢神経系に発症されることから、神経症状としては全体的に麻痺が多いのです。

リンパ腫ができた部位によって、どちらかの左右の手足が麻痺をし、場合によっては歩くことが困難になる人もいます。
 

 言語障害 

脳リンパ腫が、言語をつかさどっている左脳にできてしまうと、言葉がスムーズに出てこないなどの言語障害が出てきます。
 

 精神症状 

脳リンパ腫が、前頭葉と呼ばれるオデコの部分にできてしまうと、性格が変わってしまうなどの精神症状が目立ちます。

放心状態や物覚えが悪くなったりと、日常生活に支障が出てきますので、とくに高齢者ですと精神疾患の認知症と間違われたりします。
 

 痙攣(けいれん) 

脳リンパ腫が、側頭葉と呼ばれる耳の上の部分にできてしまうと、痙攣(けいれん)発作が非常に起こりやすい状態となります。
 

 視覚障害 

脳リンパ腫が、後頭葉と呼ばれる後頭部にできてしまうと、両目の視力が一気に低下する場合があります。

また、脳リンパ腫をわずらった人の約15~20%では、眼球の中にリンパ腫ができてしまう眼球内リンパ腫(ブドウ膜炎)を合併症として引き起こしてしまうこともあります。
 

 頭痛、吐き気、嘔吐など 

脳にリンパ腫ができてしまうと、頭蓋骨(ずがいこつ)の中の空間がなくなり、脳内密度が圧迫されてしまうことで頭痛やめまい、吐き気や嘔吐など脳リンパ腫の症状の中でも、一番最初に出ることが多い症状です。
 

このように、上記にあげた症状の他にも感覚障害や聴覚障害、運動障害などの症状も現れる可能性があります。

やはり、一番多く見られる症状としては、麻痺や言語障害などで全体の50%の患者にみられていると言われています。

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脳リンパ腫の特徴

脳リンパ腫の大まかな特徴を以下にまとめました。

  • 悪性リンパ球が脳の中で勢い良く形成される
  • おもに60~80歳代の高齢者に多く見られる
  • 知能の低下や麻痺の症状が多い
  • 脳の奥にできやすい悪性腫瘍で、脳腫瘍の約3%とされている
  • 初期症状として左右どちらかの目や両目の視力が一気に低下する
  • 数日~何週間という単位で進行するものが多く悪化するのは早い
  • 脳リンパ腫を治療しても再発率や死亡率は高めとなっている

 
 

脳リンパ腫の生存率

脳リンパ腫の生存率

脳リンパ腫は、非常に珍しいガンのため正確な生存率の数値の公表はありません。

ガンをわずらった方の5年生存率などのデータは発表されていますが、脳リンパ腫も治療別の生存期間中央値は発表されています。

生存期間中央値とは、50%の患者が生存した期間を示した数値で、言い換えれば平均余命ということになります。

放射線療法だけの治療で約15ヶ月、放射線療法とメトトレキサート薬剤の大量投与の併用で約40ヶ月の平均余命の数値があります。

今回、松方弘樹さんのように1年ほどという人もいますが、着々と医療が進歩しているおかげで、脳リンパ腫の生存率は延びてきてはいます。

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脳リンパ腫という病気はどのような症状なのか?のまとめ

最近、多くの芸能人や有名人が様々な病気やガンと闘病しているのを耳にすることが多いのではないでしょうか。

今回、松方弘樹さんを襲った脳リンパ腫も日本では10万人に1人という珍しい病気のため、聞き慣れない人や初めて知ったという人もいるかと思います。

脳リンパ腫は、進行が速いため発見が遅れてしまうと、あっという間に命の危険にさらされてしまいます。

脳リンパ腫は稀な病気ではありますが、近年の発生率は増加の傾向にあるので、この記事で紹介した症状が現れたらすぐに病院へ行き、早期発見・早期治療がとても重要になってきます。




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